妊婦の便秘の種類 弛緩性便秘

習慣化しやすい弛緩性便秘には、食生活の見直しと適度な運動

 

妊娠中の女性の便秘の中でも、よく見られるのは弛緩性便秘です。

 

特に妊娠初期から中期にかけては弛緩性便秘になりやすいと言われています。弛緩性便秘は習慣化しやすい便秘とも言われていますので、慢性化する前に、しっかり解消していきたいもの。

 

そこで今回は、弛緩性便秘についてその原因や解消法をみていきたいと思います。

 

 

妊婦の便秘の種類 弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)

 

便秘には、様々な種類があります。

 

大きくは、器質性便秘と機能性便秘の二つに分けられます。器質性便秘とは、別の疾患が腸に影響を与えることで起こる便秘です。機能性便秘とは、主に生活習慣の乱れが原因で腸の機能が低下して起こる便秘です。

 

さらに、機能性便秘には、一過性便秘と習慣性便秘の二つがあります。一過性便秘はその名の通り、突然の環境の変化などが原因でおこる一時的な便秘です。それに対し、習慣性便秘は、長期にわたる生活習慣の乱れが主な原因でおこる慢性化した便秘です。その習慣性便秘は、弛緩性便秘、痙攣性便秘直腸性便秘の3種類に分けられます。

 

今回は、習慣性便秘の一つである弛緩性便秘について詳しく見ていきます。

 

弛緩性便秘とは

弛緩性便秘とは、筋力の低下により、大腸の動きがにぶることでおこる便秘のことです。腸が正常に働いている状態であれば、波のような腸内の蠕動運動が便を直腸まで運んでいきます。しかし、腸を動かす筋力が低下すると、便が腸内をスムーズに移動できなくなり、腸内に長時間、留まることになります。

 

その結果、便は、水分を必要以上に奪われて、硬くなっていき、ますます、排出されにくくなり、便秘となってしまうのです。

 

弛緩性便秘になりやすい人

いろいろな習慣性便秘の中でも、日本人に多いと言われるのはこの弛緩性便秘です。中でも下記のような人は弛緩性便秘になりやすいと言われていますので、注意が必要です。

 

弛緩性便秘になりやすい人

  • 筋力、腹筋の弱い人
  • 妊婦、出産婦高齢者
  • 運動不足の人
  • ダイエット中の人

 

腸の蠕動運動が低下することからおこる便秘のため、筋力の弱い人は、特になりやすいといわれています。もともと女性は、男性に比べて筋力が弱いものですが、妊娠中の女性は、腹筋を使うことができないので、妊娠以前よりもさらに、弛緩性便秘になりやすい状態になっています。

 

 

弛緩性便秘の症状

弛緩性便秘の症状にはどんな特徴があるのか、見てみましょう。

 

腹痛があまりない

同じ習慣性便秘である、痙攣性便秘や直腸性便秘はお腹が痛くなることがよくあります。
それに比べて、弛緩性便秘は、腹痛を感じることが少ないと言えます。

 

お腹が張る

弛緩性便秘の場合、腸内に長時間、便が溜まってしまうため、腸内の悪玉菌が増え、腸にガスが発生しやすくなります。
そのためにお腹の張りを感じる人が多くいます。
お腹が張ると食欲がわかなくなるなどの悪影響もおこります。

 

硬くて太くてコロコロとした便

腸内に長時間、留まったままの便は、水分が必要以上に吸収されてしまうために、どんどん硬くなってしまいます。
そのため、弛緩性便秘の人の便は、硬く太く、コロコロとしていることが多くなります。
かなりいきまないと便がでないのですが、妊娠中の女性は、思いっきりいきむことをためらう人が多いため、ますます排便が困難になってしまいます。
また、便が出ても、残便感があり、すっきりとしません。

 

肌が荒れる

慢性的に腸内に便が溜まった状態が続くと、腸内の悪玉菌が排出した毒素が、腸内に蔓延するようになります。
そうなると、血液やリンパを通して、毒素が体中に運ばれます。
お肌はそれを外に排出しようとするのですが、過剰な毒素は、皮膚に多くの負担をかけてしまい、肌が荒れるという現象がひきおこされてしまいます。

 

 

ここだけの話、妊婦の便秘体験談

妊娠におけるマイナートラブルの中でも、よく見られる便秘ですが、実際に、妊婦さんが、どんな症状に悩んでいるのか体験者の声を見てみましょう。

 

パイの実と炭酸ジュースと便秘の2週間の日々 Tさん(24歳) 

排便コントロール,妊婦の便秘,弛緩性便秘

妊娠10週から11週にかけて、つわりのピークを迎えた2週間。どんどん食べれるものが少なくなって、なぜか唯一食べられたのが、パイの実と炭酸ジュース。つわりのピークの2週間はそれだけで乗り切った私です。

 

でも、その間、便秘もかなり悪化してしまいました。もともと便秘気味だったのですが、つわりの頃は、1週間とか出ないのが普通になっちゃって、つわりでつらいのか、ガスでお腹がはってつらいのか、なんだかわけがわからず、ただつらかった記憶があります。

 

ほとんど寝て過ごした妊娠初期 Rさん(35歳) 

排便コントロール,妊婦の便秘,弛緩性便秘

妊娠17週目で不正出血があったために、自宅での安静を言い渡されてしまいました。5年越しでやっと妊娠したので、本当に、心配で、神妙に安静に過ごしました。

 

本当は出産ぎりぎりまで仕事を続けるつもりでしたが、やはり、妊娠の継続を第一に考え、仕事は休暇をもらいました。それからは、出産まで家でほとんどを横になって過ごす日々が続きました。自由に動けないこともつらかったですが、それ以外にしんどかったのは、腰痛と、便秘です。

 

便秘に関しては、食物繊維をしっかりとることと、水分補給をしっかりすることで、多少改善しましたが、なにしろほとんど寝て過ごす感じでしたから、出産が終わるまで、完全に解消するのは、難しかったですね。

 

妊娠してから便秘を初体験 Kさん(29歳) 

排便コントロール,妊婦の便秘,弛緩性便秘

そんなにつわりもひどくなく、夜になると少し気持ち悪いくらいでした。なので、食事の量もちょっと少ないかなっていう程度で、つわり自体はそうつらくはなかったんです。つらかったのは、便秘になってしまったことです。妊娠以前、便秘になったことがなかったので、便秘がこんなに苦しいなんて初めて知りました。同時に肌荒れもひどくなって、ほっぺもカサカサ、ガサガサ。吹き出物まで出てきてしまいました。

 

もともと水分はあまりとらないほうだったので、それもいけなかったのかもしれません。
それに、いきまないと出ない感じだったのですが、妊娠中って、やっぱり、いきむのが不安なんですよね。

 

妊娠中は、もともと便秘気味だった人はさらに便秘が悪化し、便秘に無縁だった人も便秘を体験しているようですね。
でも、なぜ妊娠中の女性は、便秘になりやすいのでしょうか?

 

 

妊婦が弛緩性便秘になる原因

妊娠中の女性に多いと言われる弛緩性便秘ですが、なぜ、妊婦だと弛緩性便秘になりやすいのでしょうか?
その原因を詳しく見てみましょう。

 

黄体ホルモンの影響

妊娠すると、女性ホルモンの分泌量が増えます。

 

その女性ホルモンのひとつに、プロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンがあります。黄体ホルモンは、妊娠を維持させるために、子宮の収縮を抑える働きをする、妊婦にはなくてはならない大切なホルモンですただ、黄体ホルモンは、子宮だけなく、同時に、胃腸の働きをも抑制してしまいます。

 

そのため、腸の動きが抑えられ、便秘になりやすくなるのです。

 

つわり

つわりの時期はどうしても、いつものような食事の量が取れなくなります。人によっては、ほとんど食べられないという人もいます。

 

このように食事の全体量が少ないと、便のカサが足りなくなります。便のカサが小さいと、腸への刺激が足りず、腸の蠕動運動を促すことができなくなり、弛緩性便秘を引き起こしやすくなります。
また、つわりの時期には、フライトポテトだけしか食べられないなど、突然偏食になってしまう女性も多くいます。

 

その結果、どうしても食物繊維が不足しがちになります。食物繊維は、腸の蠕動運動を促す役目を果たすのですが、その食物繊維が不足することで、ますます、腸の運動能力が低下しがちになってしまうのです。

 

運動不足

弛緩性便秘を起こす要因の一つは、筋力の衰えです。それゆえに、筋力の低下が著しい高齢者に、弛緩性便秘は多いのですが、筋肉が衰えがちなのは妊婦にも言えることです。適度な運動が便秘にいいことはわかっていても、妊娠中は、運動できない状況におかれる女性も多いので、それも仕方ないことかもしれません。

 

まず、妊娠中は、腹筋を使う運動ができないので、腹筋が弱くなってしまいます。また、つわりの間は、気持ちが悪くて運動どころではないという人もいます。不正出血や切迫流産の恐れがあれば、運動どころか、安静にしていないといけません。

 

そのために、妊娠中の女性はどうしても運動不足になってしまう人が多いのです。
そして、運動不足は、筋力の低下を招き、弛緩性便秘をひきおこす要因になってしまいます。

 

水分不足

水分の摂取量が不足すると、体は水分不足を補うために、排出する水分をセーブする方向に働きます。その分、腸内の便は水分が少なくなり、硬くなる傾向にあります。硬い便は、腸内をスムーズに移動することができなくなり、弛緩性便秘をさらに悪化させることになります。

 

普通健康な人の便が含む水の割合は70?80%といわれています。しかし、水分の補給が不十分だと便の水分は減っていきます。便の水分が60%になると便は硬くなり、50%になるとコロコロでカチカチの便になってしまいます。そのため、常に十分な水分の補給を心がける必要があるのですが、妊娠中の女性は、様々な理由から水分不足になりがちなのです。

 

その原因の一つはつわりです。ひどい人は1日に何回も嘔吐することがありますし、水を飲んでも気持ち悪いという人もいます。また、胎児にも水分を供給しなければならないため、妊娠以前よりも大量の水分を必要とし、つい、うっかりと水分不足になりがちでもあります。大人が1日に必要とする水分はだいたい2?2.5リットルですが、妊娠中は2.5?3リットルの水分補給を心がけたいものです。

 

 

妊婦の弛緩性便秘の対処法

 

筋力の低下が原因である弛緩性便秘の解消法は、適度な運動と、腸の蠕動運動を促すような食生活への改善となります。

 

妊娠中もできる運動を

妊娠している女性ができる運動は限られていますが、適度な運動は、便秘予防にもなり、出産に向けての体力づくりにもなります。
流産や早産の危険があって、医師から運動を止められている場合を除いて、妊婦が適度な運動をするのはおすすめです。
とはいえ、腹筋運動をはじめ、お腹を圧迫するような運動や、転倒の可能性のあるような激しい運動は厳禁です。
妊娠中の女性が、誰でも簡単に始められるのは、歩くこと。近所の買い物がてら、5分、10分、無理のない範囲でゆっくりと歩くようにしましょう。
また、もし、近所にマタニティヨガ教室やマタニティスイミング教室があれば、参加するのもいいでしょう。
こういう教室に行くと、妊婦さん友達もできますし、人と一緒にやることで、継続しやすくなります。

 

食物繊維をしっかりとる

妊娠中の女性は、どうしても、食生活が偏りがち。
つわりの期間は、満足に食べることすらできなかったりします。
妊娠すると不思議なことに、カレーばかり食べたくなったり、ハンバーガーばかり食べたくなったり、チキンラーメンばかり食べたくなったりしたりもします。
つわりの期間中は、仕方ないのですが、少し食べられるようになったら、できるだけ食物繊維を摂取するように心がけていきましょう。
というのも、食物繊維は、腸の活動にとって、なくてはならない働きをしてくれるのです。

  • 便のカサを増やす
  • 腸の蠕動運動を促す
  • 腸内の善玉菌を増やす
  • 腸内の有害物質を吸収して、体外へと排出する

弛緩性便秘の人は、腸の蠕動運動がにぶくなっていますから、腸の蠕動運動を促す食物繊維は積極的に摂取したいものです。
では具体的には、どんな食べ物を摂取すればよいのでしょうか?
食物繊維には、水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維がありますが、腸の蠕動運動を促す働きをするのは、不溶性食物繊維の方です。

 

不溶性食物繊維を多く含む食品

  • 穀物
  • はい芽米
  • 全粒粉
  • さつまいも
  • じゃがいも
  • 大豆
  • エンギリ
  • しめじ
  • 小松菜
  • ごぼう
  • ブロッコリー
  • りんご
  • バナナ
  • 切り干し大根
  • アーモンド

 

これらの不溶性食物繊維は、水分を含んでカサを増すことで、効果を発揮します。
ですので、不溶性食物繊維を摂取する時には、水分も一緒に摂取することが必要です。

 

 

まとめ

弛緩性便秘は、筋力が低下し、腸の蠕動運動がにぶくなることからおこる便秘です。妊娠中の女性は黄体ホルモンの影響や、運動不足、つわり、水分不足などの要因が重なるために、弛緩性便秘になりやすくなっています。

 

弛緩性便秘の解消には、運動不足の解消や、腸の蠕動運動を活性化する食物繊維の摂取が必要です。ただ、妊娠中の女性は、運動しないようにドクターストップがかかっていたり、つわりで思うように食べられなかったりします。かといって、妊娠中だと、気軽に便秘薬を使うことも、ためらわれることと思います。

 

ですから、普段から、腸内環境を整え、少々のことでは便秘になりにくい体質づくりをしていくことが大切になってくるのです。

 

 

妊婦の便秘解消には、排便コントロールがおすすめ。その方法はこちらから


排便コントロール,妊婦の便秘,弛緩性便秘



「排便コントロールで快適妊娠生活。妊婦の便秘解消法」TOPに戻る